美少女は眠らない

ここのところまた心を入れ替えまして
(1年に何回入れ替えたら気が済むんだというツッコミはおいといて)
ちょっとまともに絵を描こう。なんてことを思いまして、
イラストサイトなんかをめぐってみているわけですが

まあイラスト関係というのは、
なかなか展示物が更新できないということもあるんですが
けっこうはまるときはすごくはまって、連日好みのところを物色したり描き方を研究したりするんですが
いったん時間がなくなったり興味が失せたりすると、何か月もまったく他人のところも見ないし自分のところも手をつけないという。
単にその興味がたまたま戻ってきただけといえばそれまでなんですが。

昨夜もリンクからリンクへと、
てきとーにバナーの絵で品定めしつつめぐっておったわけですが

あるところから、たまたま
以前好きだった同人作家さんのサイトを発見いたしまして

一方的に勝手に感動の再開を果たしつつ、同時に
その方にまつわる不快な出来事がフツフツと
いもづる式に思い出されてきたわけでございます

創作界の裏のなまぐさい話が大好きなみなさま
おまたせいたしました(笑)
もう時効だとは思いつつさすがに実名は伏せてお送りいたします

ええと、不快な出来事といってもなにも
その方にわたしが直接何かされたとか、
ぜんぜんそういうことではないんですが。

仮にその方をAさんとお呼びいたします

Aさんは、同人作家といってもエロパロなどではなく
オリジナリティーあふれる非常に美しいイラストを描いておられる方で、
水準は高いが商業誌ではジャンルの枠に入れられないため自費出版という形をとっておられるようですが、
たしか以前には商業誌でもイラストの仕事をされたことがあるようなことを本の中で書かれていました。
雰囲気で言うとまあ“ゴシック・ロリータ”というやつですが
昨今バカ流行りする以前の、ゴスロリなどという略語もない頃のことです
イラスト集やイラストストーリーの本を出しておられたのですが
とても手の込んだ作業の絵柄なのでさすがにポイポイ新作が出るわけではなく、出されても装丁にもこだわられるので値段が高かったりして、なんとなく買いそびれているうちにわたし自身がエロのほう専門に移ってしまったので、それっきり新刊のチェックもしなくなってしまったという。
(ちなみに個人的に感想のお手紙などを送ったことは一度もない)
だいたいそんななりゆきで離れてしまっていたのですが。

さて
ここで、いったんAさんのことはおいときまして

その、Aさんの本を買っていたのとだいたい同じ頃に
ちょっとした交流のあったBさんという漫画家さんがいました

Bさんは、わたしと同じ雑誌で描かれていたのがきっかけで作品を目にしたのですが
あ、ちなみにジャンルはボーイズではありません。
というかこの話自体、
わたしがボーイズに足をつっこむ何年も前の出来事ですので念のため。

Bさんはやはり絵柄が独特で、ストーリーや雰囲気がけっこう好みで
一方的に年賀状などを送りつけていたら気さくにお返事を下さって、
しかもあちらも仕事に余裕のあるときは同人誌も作っているとのことで
そんなこんなでしばらくお手紙のやりとりをしていたのですが

このBさんのほうは、やはり今では交流が途絶えているのですが
なんで途絶えたかというと、
というかむこうはおそらくわたしのことなど気にもとめていないので、途絶えたことにすら気づいていないと思うのですが

はっきり言って、この方の仕事の姿勢みたいなものが
ちょっと嫌になってしまったのですね。

この方は、単行本の余ったページによく仕事や私生活の苦労話などを面白おかしく描かれていて
はじめはそれを読むのも楽しみだったのですが

だんだん
「第何話のときはぜんぜん時間がなくて
3日で原稿をあげたので人物の顔がヒドくなってしまった」だとか、
「資料を見るのがめんどくさかったので
○○の着ている服はデタラメなんだけど描き直してるひまがない」だとか
ネタがそういうのばかり目につくようになってまいりまして

いえね
1回や2回なら、
「そんなの作品そのものが面白ければ気にならないよ」と思えるんですが

あまりにも毎回なので
しかも
そういうことを自嘲気味に描きながら、改める気はまったくないというか
むしろそれをネタにすることが免罪符になると思っているような
そんなかんじなので

だんだん、作品そのものまでもが
色あせて見えるようになってきてしまいまして

まあ大半の読者の方はおそらく「作品そのものが面白ければ」のほうをとられると思うので
だからこの方は今でも現役で連載をされて人気も維持されておられるようですが、
わたし個人はちょっとごめんなさいというかんじで
じりじりと交流を細らせ、いつしか
単行本をあつめるのもやめてしまいました

さてここまでよろしいですか。
わたしの知るかぎりでは、AさんとBさんには何のつながりもありません
勝手にわたしがたまたま別々のところで見つけたそれぞれの作品を気に入ったというだけで、
それぞれがたがいのことを話題に出していたということも
記憶のかぎりございません。
またわたしもAさんとは前に書いたように「一方的に客として同人誌を買う」以外の接触はしていませんし、
交流があったBさんにもAさんのことを話した覚えはありません。

それはたしか、わたしが
Bさんにはそういうところがあるなあと
うっすら気づき始めた頃のことです。

その前に
言っておかなければならないのですが

わたしがかなり最初のほうに買ったAさんの同人誌に、
たしか丸々1ページ使って注意書きが書かれておりました。
わたしはそのものを見たわけではないのですが、
以前商業誌で仕事をしたこともあって一部同人誌界で
Aさんのパクリが横行したらしいのです。
すでに当時同人誌では、ピ●クハウスやヴィジュアル系から分離した人々がぼちぼちゴスロリ系を描き始めており、
まあ雰囲気的に人物の顔のバランスなどはどうしてもなんとなく皆さん似た感じになってくるわけで
それをすべてパクリだと言っているわけではないでしょうが、
Aさんいわく
自分の本で描いている少女の着ている服は、
すべて完全に自分のオリジナルデザインであると。
しかも
Aさんの同人誌の発行元となっているサークル名、
これは完全にAさんによる「造語」であると。

まあわたしなどは、なにも「ゴスロリ」が好きというわけではなく
たまたまAさんの絵がいいと思っただけの人間なので、正直
服などは誰が描いたものもそんなにたいした違いはないように思えてしまうのですが

さすがに苦労して独自に考え出して描いたものが他人によって「まったく同じ」に描かれていれば、
当然本人には「ああ真似された」とわかるでしょうし
同じく自分が自分の作品のために考え出した造語を、響きがいいからと勝手に他のものの商標などに使われては
著作権の危機をおぼえずにはいられないでしょう。
まあそんなこんなで
自分が苦労して独自に考え出したものを簡単に真似て描いて
売って金を儲けたりしないでほしい、
また、そういうものがどこそこで売られていたといちいち報告されるのも気分が悪くなるのでやめてほしい。と
たしかそんなことが書かれておりました。

そういう前提があっての
ある日のことです。

前にも書いたように、その頃Bさんはわたしと同じ雑誌で仕事をしており
わたしのところへはわたしの作品が載らなくても毎号その雑誌が送られて来ていました。
そして
その号には、Bさんがビッグゲストとして
かなり長編の読み切りを描かれていました

その作品のタイトルが


Aさんのサークル名と
まったく同じだったのです。

・・・・・・・・・


そうです
Aさんが自身の造語であると言っていた
まさにその言葉です。
しかも

作品のタイトルだけでなくその単語は
作品に出てくる美少女の個人名にも
しっかり使われておりました


・・・・・・・・・
いえ、

それだけならまだ。

まだBさんが、どこかで、
たとえば同人誌イベントに行った際に
たまたまAさんのサークルが目にとまったとか。
いや
イベントに直接行かなくても、
どこかでパンフレットだけを手に入れて、
そこでたまたま「サークル名が」目にとまったとか。
いやあるいは
それこそAさんが言っていたように、
誰かが勝手に使ったその言葉をたまたまどこかで目か耳にしただけであるとか。
まだ、いくらでも「偶然」で説明がつくのですが、


そのときわたしが入手していたAさんの最新の同人誌の中に
ゴスロリふうのネグリジェを着た美少女が
天蓋つきのベッドに寝ている絵
がありました。
その、天蓋から下がっているオーガンジーのカーテンのしわの質感を表現するのに
ICの901番のトーンが使われておりまして。
・・・すみません
たいへん申し訳ないのですが、
「トーンてなに?」という方は今回あえて置いて行かせていただきます。
まあようするにマンガの原稿を作成するための画材の一種ですが、
ICの901番というのはこまかい点描を不均一なグラデーションに打った帯を波打たせたデザインのもので
わたしなどの凡人はせいぜい人物の不安な顔のアップの後ろに流すなどの使い方しか思いつかないのですが、
これをオーガンジーのしわに使うなんてさすがだなあと。
しかもこの当時まだ901番は発売されたばかりで、
たいへん感心したのでたまたまこの表現をとても印象深く憶えていたわけです


それが。
それがです。


その、Bさんの長編読みきりの中で
まったく同じ使われ方をしていたのです。
すなわち


「ゴスロリふうのネグリジェを着た美少女が
天蓋ベッドに寝ているシーンの
オーガンジーのカーテンに
ICの901番のトーンが貼られている。」
と。
・・・・・・・・・。


せめて、

せめてベッドのデザインが違っていたら。
いや、
せめて使われているトーンの番手が違っていたら。
いや、

せめてベッドに横たわっているのが美少女でなかったら。
・・・・・・・・・。


Bさんのしていることは、きっと
法律に問われたりするほどのことではないと思われます。
わたしも、おそらくBさんのこのマンガを読んだうちの99%以上の人はこのことに気づく由もないだろうし、わざわざ騒ぎ立ててBさんの人気に波風を立てたところでわたし自身にとって得になることなど何もないので
法律を持ち出してまでBさんを告発する気など毛頭ないし(第一そんなひまも金も気力もない)、
Aさんのほうにも
「気分が悪いからわざわざ知らせるな」と本人が言っている以上、報告するつもりはありません。
BさんのそのマンガはなにもAさんの本に出てくる設定やストーリーまでまるまるパクっているわけではなく、マンガとしてのストーリーはまったくBさんのオリジナル(の、はず)なので

「ただちょっと、いい絵といい言葉をみつけたので
少しでもいい作品を描いて読者を喜ばせるために
参考にしただけ

と言われてしまったら
それ以上反論することは難しいと思われます

ただ、

ただあくまで
不幸にしてその1%以下の「気づいた人」にたまたまなってしまった
わたし個人の感情としては。


「パクリをやめてくれ」と
わざわざ1ページ使って切々と訴えている、
しかも自費出版で描いてるアマチュア作家の
たかだか数百人にしか読まれない作品を、
それなりに人気のある商業誌の
何十万人にも読まれるであろうプロ作家が
まるまるいただいちゃって「わたしが考えました」って顔して、

それはずかしくねえのかなあ・・・・・・


何と言うか、
こういう問題って絶対に真相が明らかになることってないと思うので。
なんか気持ち悪い。

ちなみにこの話、当時何人かのマンガ家の知り合いに話したんですが
皆さんきっぱりと
「えー偶然じゃないのー」か
「えーでもいいものは参考にしていいんじゃないのー」の
どちらかでした。まあそうでしょうね。
わたしも他人事だったら絶対そう言う(笑)
こういう気持ち悪さって、絶対気づいちゃった本人にしかわからないんですよ。
ああ気持ち悪いなくそー。
まあBさんのマンガを読むのをやめたのは
この気持ち悪さをにどとおぼえたくないためでもあったわけですが。


おそらく今この文を読まれたみなさんは、
そのパクリ疑惑の真偽の気持ち悪さに加えもうひとつ

「Bさんてダレ!?」という
とてつもない気持ち悪さを
味わわれていることでしょう

ざまあみろ プッ

(2003年12月10日)

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