考えちゃいけないはなし・1

年に2回ほど、俗にコミケと呼ばれるイベントに足を運んで同人誌を買ったりしている。
不思議に思うのが、買った同人誌を読んでいるとその作者のうちの何人かは、どうも同人誌を作る以外に何もしないで生活しているようなのである。
トークのページやいっしょにもらったペーパーなどを読んでいても、仕事や私生活の話がまったくといっていいほど出てこない。「余計な情報を入れてマンガの世界を壊したくない」とか、「プライベートをまったく知られたくない」という考えの人もいるが、そういう人はたいていトークページ自体を作らないから、やはり「トークは入れるけどマンガからは離れない」というのは、「マンガ以外ネタが無い」つまり「マンガ以外何もしていない」ととらざるを得ないのである。
一部、男性向けエロマンガや実在アイドルのやおいなどのジャンルでは、売れている人はそれだけで生活できるときいたことはあるが、わたしが買う本はそういうジャンルにくらべて格段に売れないといわれる「創作ジュネ」ばかりだし(他のジャンルまで見て回る時間が無いので)、それも「大手」とよばれる、行列ができるためいつも壁際に配置されるような有名サークルの本は、並ぶ時間が無いので手に入れたことがない。
つまりわたしが買って読んでいる本は、どれもコミケ全体からすると、余計なお世話だがそうバカ売れしているわけではないサークルのものばかりということになる。
果たして、その程度の規模のサークルの主催者がその売上だけで暮らしていくなどということが、可能なのであろうか。
まったく余計なお世話だが気になって仕方がないので、仮に計算だけでもしてみることにした。
あくまで「これくらいなら、まあ有り得る」と思われる数字を仮定すると、まず、「創作ジュネ」で「そこそこ売れる」といえる発行部数は、1冊につき500ぐらいだろうか。これくらい売るには、内容のクォリティを維持するのはもちろんだが、だいたいコンスタントに毎回100前後のページ数を描かなくてはならないだろう。サイズはもちろんB5。絵に自信があるなら、たまにA4にしてみてもよい。これで表紙をフルカラーにすれば、1冊1000〜1500円という値をつけてもまあお客は金を出してくれる。
こういう本を1年の間に何冊ぐらい出せるか・・・本を作る以外、仕事や子育て、親などの介護、その他あらゆることを本当に、まったくしないでいいとすると、わたしぐらいのスピードだとだいたい2か月に1冊以上は作れるか。1年だとまあ、7〜8冊というところが現実的だろうか。
・・・ここまで計算したところで、税金をひいても今のわたしの年収の数倍にはなるということに気づいてしまい、考えるのをやめた。

(2001・3・14)


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