悲劇の玩具

ここをよく訪れてくださってる方は、たいがいもうわたしの下品さには慣れていることと思いますが、今回本当に、くれぐれも、下ネタがダメな方は決して読まないで下さい・・・・・・
なんて書くと読まずにいられなくなるのが人情でしょうが、
とにかく、わたしはちゃんと言いました。
もうわたしの責任じゃないかんねーだ。しーらない。


わたしは時代劇が好きである。
わたしの本業はマンガ描きなので、家でテレビをつけて仕事をすることが多く、昼間の時間帯にはいろいろな局で再放送ものの時代劇を観ることができる。
今は朝10時半から11時半までテレ朝でやっている番組を観て、ちょうどそのあと11時35分ぐらいからテレ東の番組が始まるので、うまいぐあいにハシゴして観ることができるのだが、実際にはこのふたつの番組の間には、10分近いインターバルがある。
すなわち、テレ朝の番組が終わるのは正確には11時23〜4分ぐらいで、そのあと短いテレビショッピングの宣伝が入り、30分からはワイドショーが始まる。
うっかりチャンネルを変えないでおくと、そういう日に限ってワイドショーに面白いネタがあったりしてつい見てしまうので、わたしはテレ朝の時代劇が終わるとすぐにテレ東に変えることにしている。が、その時点ではテレ東ではまだ、前の株式ニュースをやっている。
わたしは株式には興味ないが、時代劇を観るためなので画面は見ずにつけっぱなしにしておく。
と、ここまではいい。
株式ニュースが終わると、すぐに時代劇が始まるかというとそうではなく、そのあと5分ぐらいの育児番組が入る。
言うまでもなくわたしは育児にも興味はないので、この間もテレビはただのつけっぱなしに変わりはない。・・・が。
その番組のあと、番組スポンサーであるおもちゃ会社のCMが入る。その中で売られているおもちゃというのが、いわゆる「ミルク飲み人形」。おそらく幼稚園ぐらいの女の子を対象にした、哺乳ビンからミルクを飲ませたり、服を着せ替えたり、オムツを替えたりできる人形である。
ところがこの人形、宣伝によるとそれだけではなく、「うんちをする」機能があるらしい。
なぜ「らしい」かというと、初めわたしはまったく興味がなかったので、このCMも画面を見ずに音声だけを聞いていた。そしてその中で、人形で遊んでいるらしい子供の「あっ、うんち!」というセリフがあったので、頭の隅で「へえ、最近の人形はそんな仕組みまでついてるんだ。」とちらりと思っただけだった。
そのときわたしの頭の中に思い浮かんだ映像は、「付属のオムツの中にときどき母親か誰かがおもちゃのうんちを仕込んでおいて、それを見つけた子供がオムツを取り替えて遊ぶ」というものだった。5歳かそこらの子供が遊ぶのだから、それなりに大人の協力もあってしかるべきなのではないかと勝手に思っていた。
ところが実際には、この人形の「うんち機能」はそんなものではなかったのである。
ある日ほんとうに何の気なしにたまたまこのCMの最中、テレビの画面に目をやったわたしは驚愕した。
例の「あっ、うんち!」のセリフの、
「あっ」の瞬間には、オムツをはがした人形のコカンが映っている。
そして次の「うんち!」のときには、

人形の肛門が放射線状にパカッと割れ、
中から生々しい色のうんちが
「にゅっ!」と出てくるのである・・・

部屋に他に誰もいないにもかかわらず、わたしはあまりのことにうろたえてしまった。
「こ、こんなものをまっぴるまの時間帯に放送してしまっていいのか!?」
なんか、よくわかんないけどそういう風紀上よろしくないものに対して敏感などっかの団体とかから、苦情の電話が殺到したりしないのだろうか。
しかも、しかもである。
その「にゅっ」と顔を出したうんち、そのあとどうなるかというと、

遊んでいる子供が布でおしりを拭いてあげると、
「元通り体内に引っ込む」のである・・・・・・

いったい5歳かそこらのうちからこんな卑猥なもので遊ばせていたら、将来おかしなマンガを描くようになってしまったりしないのだろうか。
いや、マンガくらいならまだいいかもしれない。
実際のその行為を、見たり見せたりする趣味に目覚めてしまったとしたら。おそらく母親は嘆き悲しみ、さらにあんなおもちゃを与えた自分を一生責め続けるのではないだろうか・・・。
可愛らしい「おかあさんごっこ」のための人形が、遠い将来こんな悲劇をよぶことになろうとは、おそらくメーカー側も視聴者もまだ気づいていないに違いない。
いや、いっそ気づかないほうが幸せかもしれない。
このCMが長い間差し替えられることなく放送され続けるなら、苦情の電話はかからないということだ。決して大衆がこのCMの卑猥さに気づきつつも密かな楽しみとしているからだまっているだけ、などということはあるはずがない。決して。
当分の間テレ朝もテレ東も番組のシフトを変えるとは思えないし、「ミルク飲み人形」という商品もある程度のロングランは見込めるだろう。
そんなわけで、当分の間わたしは平日の午前11時半近辺を、一人いたたまれない思いで過ごさなくてはならないようである。

(2001・12・12)

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