潜入!アダルトサイト

こんなことは、パソコン使い始めて長い人ならみんな当然知識として頭に入っているのだろう。
と、思っていたが先日、某大手プロバイダに勤めている妹にこの話をしたら「はじめて知った。いい勉強になった。」と言っていたので、何か世の中に役に立つこともあるかもしれないと考え、書くことにしました。
テーマはずばり、
「アダルトサイトがなぜやばいか。いかにして人はこれにはまり、作り手をよろこばせてしまうのか。」
あなたの身近にはまってる人がいたら、ぜひこれを読んであざけ笑ってやってください。


きっかけはほんとうに他愛無いことだった。
いつも遊びに行っている掲示板が、たまたまそのときは書き込みが増えていなかったので、なんとなしに以前ちょっとだけ参加していた別の掲示板をのぞいてみる気になったのである。
そして、いくつかメッセージを開けて読んでいると、次のような書き込みとURLを発見した。

「私のエッチな写真のホームページを作りました。よかったらのぞいてみてね。22歳・女子大生」
・・・・・・一応言っておくが、この手の書き込みに遭遇するのは初めてではないし、「22歳・女子大生」というのをそのまま信じるほど、わたしは残念ながら心がきれいではなかった。
が。
では、このリンクをあけてみたら実際には何が入っているのか、ということについては、まだ知識がなかったのだ。これはかねてからの好奇心を満たす、絶好のチャンスかもしれない。・・・・・・。
「命までは取られやしねえよ」
何かが耳元でささやいた気がしてハッと我にかえると、わたしの右手に乗り移った悪魔が、すでにそのURLをクリックした後であった。


クリックして飛んだ先は、たしかにどこかのホームページらしかった。しかし案の定というか、「22歳・女子大生」個人のホームページには、どう見ても見えなかった。
そこはいわゆるリンクページのように、いろんないやらしげな写真がべたべたと貼り付けてあり、それぞれに「制服女子高生の放課後」だの「昼下がりの人妻」だのといかにもそれっぽい説明がついている。どうやら、来た人の欲求に応じてどこへでも飛べる親切設計になっているようだ。
どうもリンクばかりで、このページの「本筋」のようなものが見当たらないので、とりあえずひとつリンクを開けてみることにした。
すると。飛んだ先は、またしても同じようなリンクページだった。最初のページに「女子高生」と書いてあるところを開けたのに、またしても人妻だのSMだのといろんなテーマが一緒くたになっている。
なんだかだんだんわかってきたような気がした。
しかし、スケベ根性でここに来る奴とて、そうバカばかりではないだろう。あっちこっちに飛ばされるばかりで「中身」がないんだとしたら、すぐに商売にならなくなるのではないか。
とりあえず、どこかに「中身」はきっとあるはずだと判断したわたしは、それらしきものを見つけるまで根気よく漂流を続けることにした。


何度めかのリンクを開けた末に、ようやくわたしは「メイン」らしきところにたどり着いた。すでにここまでで、ずいぶんとムダな接続時間を費やしてしまっている。これもヤツらの手なのだろうか。
さてそのメインらしきページには、ボタンになっているちっちゃいエッチ写真にテーマ説明をつけたものが、数十個並んでいた。そして冒頭に「ボタンをクリックすると、テーマの通りの写真が30枚見られる」というような説明が書いてある。ふーんそうか、と思ってためしにボタンをひとつ押してみた。
すると、出てきたのはなぜかダウンロード画面だった。
そして、いかにも「ダウンロードボタンを押すと、見たかった写真30枚の入ったファイルが手に入る。」みたいな説明がしてある。
「・・・待てよ・・・」
わたしは一度戻って、もう一度エッチボタンのある画面をよく見た。すると、そのページにもやっぱり、エッチボタンのほかに今までのページにあったようなでかいリンクバナーがいくつか付いている。
こんどはためしに、そのリンクのほうをクリックしてみた。
すると、さっきと同じダウンロード画面に飛んだのだ。
これは、ダウンロードされるのは、エッチ写真のファイルなどでは100%ないな、とわたしは確信した。
しかし、それならそれで、じゃあいったい何がもらえるのか・・・まあ、たいしてありがたくないものであるのはたしかだが、ここまで見てしまった以上やはり気になる。
一応ウィルスのことなどもちらりと頭をかすめたが、まさかわざわざここまで大掛かりなエサを撒いて、世の中の不特定多数の人のパソコンをダメにしようとするヒマなヤツもいるまい。どんなに迷惑なものだったとしても、削除できないということは、たぶんないだろう。
好奇心に負け、わたしはダウンロードボタンを押した。


デスクトップに出現したのは、思いっきり「秘」と書いたアイコンだった。
ばかではないだろうか。
「いやらしいものが入っている」といわんばかりである。
もしもわたしが自分の親やダンナ(いないけど)のパソコンにこんなものを見つけたら、絶対に開けるだろう。
それはともかく、わたしは誰にも見られる心配はないのでワクワクしながらさっそく開けてみた。
はたして出てきたものは、「接続」ボタンのついた説明書であった。
それによると・・・、
ようするに、ボタンを押すとダイヤルQ2につながるとのこと。
これで、好奇心のうちのひとつ「なぜアダルトサイトはもうかるか」がようやく理解できた。というか、「ダイヤルQ2」というキーワードが登場してさえいれば簡単にわかったことなのではあるが、なにしろパソコン超初心者なので、ダイヤルQ2がインターネットの回線にも進出しているということを知らなかったのだ。
しかしながら、その説明書にはQ2の料金設定から、このソフトの削除の仕方まできちんと書いてあって、なかなかどうして良心的ではある。
さてここまでわかっているのなら、ここまできて潜入してみないテはないのではないか・・・。幸いわたしには、時間を忘れて女のハダカに見とれる趣味はないので、「何分以内ならだいたいいくら」とわかってさえいれば、あとでバク大な請求書がくるという心配もきっとないだろう。
「何があっても30分で切る」そう決めて、わたしは接続ボタンを押した。


まず驚いたのは、Q2へかけるときにはダイヤル音が通常の接続のときとはまったく違うということだった。
耳慣れないメロディーが終わって、やがて表示された画面は、
・・・やはり先程までのアダルトリンク集と、たいして違わないように見えた。
カメラ目線で微笑んでいる女の子の写真が並び、それぞれにどうでもいいウソ名前と簡単なプロフィールがついている。
今までが今までだけにどうしても疑ってしまうのだが、写真のひとつをクリックすると、意外なことにちゃんとその女の子のもっと大きい写真が出てきた。こんどは、撮影に至るまでのいきさつや撮影中のエピソードなどが書いてある。
どうやらこの次が、いよいよ「目的のブツ」らしい。
「入り口」らしきところをクリックすると、写真が縦にたくさん並んでいるらしい画面が出てきた。
並んでいる「らしい」というのは、とにかく、重いのだ。ここに写真があるであろう場所は四角くグレーに囲ってあってわかるのだが、何しろ1枚1枚の写真がでかすぎる。最初の1枚すら、完全に表示されるまでに2〜3分かかった。そして、お約束だが最初の1枚は、服を着たままただにっこり笑っている写真。
さらに2枚目は、「上目遣いにこちらを見ながら、これからブラウスの胸のボタンをはずしちゃおっかなーというところ」の写真であった。
これでは、すっぽんぽんになってあられもないポーズをとってくれるまでには数時間かかってしまうのではないか・・・いや、それであられもないポーズが拝めればまだいいが、じりじりしながら待ったあげく、結局せいぜい服を脱ぎ終わったあたりでオシマイにされでもしたひにはめもあてられない。おねえちゃんの痴態は見れないわ、バク大な請求書はくるわまさにふんだりけったりである。怒りのぶつけどころもない気の毒なスケベオヤジが、はらいせに放火でもやらかしたらどうするんだろう。
もうこんな超超スローなストリップショーをいつまで見ていてもしかたがないので、切ってしまおうかと思いながらしばらく未表示のグレーの枠が並ぶ画面をスクロールしていくと、いくつかの枠の後に「この子の写真がもっと見たい方はこちらへ」と書いたバナーが貼ってあった。
これはどういうことであろう。また別のサイトへ飛ばされるか、あるいは最悪、最初の画面に戻らされるということも考えられる。
少し迷ったあげく、結局押してみた。
最初のにっこり写真とプロフィールがでてきた。
が。
その下に、異様なものが表示されている。
よく見るとそれは、整然と並んだ100枚ぐらいの、ミニミニサイズの伏せたトランプであった。
まさかこの1枚1枚が、写真を表示するためのボタンになっているのだろうか。
いちばん左上の1枚をクリックしてみた。
はたして正解であった。
見覚えのある、服を着たままカメラ目線でにっこり笑うおねえちゃんが出てきた。
やはり写真が必要以上にでかいので、完全に表示されるまでには時間がかかる。しかし今度は1枚きりなので、「なあんだ」と思ったら完全に表示される前に閉じてトランプ画面に戻ることができる。
わたしは戻って、今度は真ん中へんのトランプをめくってみた。
すると、こんどこそ殿方が満足しそうな写真が出てきた。
どんな写真だかは、・・・どうしても気になる方は実際行って見てもらえばすむことなのでここでは省くが、まあ冷静な目で見れば、何もこんなに苦労してたどり着くほどの価値はとてもあるとは思えない、雑誌やビデオのほうがよっぽど過激じゃないかという程度のものではあった。
ところで、わたしはあんまり気が長いほうではないのでトランプを端から順番にめくっていくことをしなかったが、順番にめくっていけば、ちゃんとおねえちゃんが手順をふんで、ボタンをはずし、服を脱ぎ、チチアテをはずし、ぱんつをおろし・・・とだんだんにサービスを展開していってくれるのだろうか。
じつは、そこにこの手のサイトの罠が隠されていたのである。
もし順番どおりなら、この先、下半分のトランプはもう目も当てられないようなとんでもねえ写真が出てこなくてはならない。わたしは、さっきのからすこしだけ、下にある写真をめくってみた。
すると、こんどは服を着たままの写真が出てきたのである。
それも、「やる事やり終わって脱いでいたのを着ました」というかんじではどうみても、ない。明らかに「脱ぐ前」だ。
ここにきて初めて、「トランプ」にしてある意味がわかったのである。
ようするに、「いやらしい写真」と「いやらしくない写真」がランダムに取り混ぜて、伏せてあるのだ。悲しいくらいに人の心理をついている。
ハズレもある。だけど当たりもある。そして、「最高の大当たり」がどこなのかは、ぜんぶめくってみるまでわからない。
あるかどうかもわからない「最高の大当たり」を期待して、時間を忘れてトランプめくりに熱中してしまう人は、たくさんいるにちがいない。ゲーム要素を盛り込むことでたくみに人のスケベ心を利用した、じつにうまいやりかたである。

画面を閉じて説明書にあったとおりに削除しながら、わたしは、やはりそれなりに儲かるには、これくらい悪いことを考えつく頭がなくてはダメなのかもしれない、と思った。

(2001・6・3)

蛇足ですが、役に立つかもしれないので載せておきます。
http://www.ntt-east.co.jp/q2/

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