馬鹿と夜景と遊園地

この文章は、わたしがとある掲示板で勝手に「連載」していたものである。
掲示板の主旨はたしか、「異性間の友情は成立するか」とかいったことで、少々テーマからずれた話ではあるが「続きが楽しみ」というレスを多数いただいたので、いい気になって最後まで書いてしまった。
その掲示板も消滅し、管理人とも連絡がつかないので、許可はとっていないがこのたび、こちらにアップすることにした。(元々いずれエッセイとして書くつもりでいたネタではあったし。)
その掲示板ではわたしは「ぽんた」のHNは使用していなかったし、メルアドやここのURLも含めいっさいの個人情報を公開していなかったので、もしその掲示板を読んでいた方がこれを見つけたら「!?」と思われるかもしれないが、信じていただくしかない。あの連載の作者とわたくしぽんたとは同一人物で、誓って勝手に流用したものではないことを記しておく。
(※ここにアップするにあたり、文面は多少手を加えてあります。)


● 第1回


数年前の話。ネットではないある場所で(まあわかる人にはわかるだろうな)
「いっしょに遊園地の絶叫マシンに乗りに行ってくれる友達」をさがしたことがある。
男女問わず、まあ、もし男性と出会ってそーゆー関係に発展するならそれもあり、でも最初から「恋人」を探すつもりではべつになし。
というかんじだった。
で、
何人か応募してきてくれた中に、けっこう歳の近いフリーの男性が1人いて。
手紙と電話では、べつにやな感じもあやしい感じもしなかったので、
都内某所の、わたしが行ったことない遊園地を案内してもらうことにした。
(もちろんまっぴるまですよ〜。会ったのは二人きりでだけど。)
そしたら、
まずそいつ、会うなりわたしの名前を間違って覚えていて、第一印象はかなりさいあくであった。
んでも気を取り直して、待ち合わせ場所からちょっとだけ電車に乗って遊園地に向かう。
が。
話しかけても、会話が続かない。
どうも、やつのほうに「続かせよう」という意思が見えない。
なんなんだろう。
緊張してるのか、シャイな人なのか、それとも
会ってみたらわたしがあまりに好みでないタイプのおんなだったのでひいているんだろうか。
などとあれこれ考えをめぐらせているうちに、
電車は遊園地に着いたのであった。

つづく。


● 第2回


遊園地に入場し、アトラクションをまわり始めてからもやつの態度は同じだった。
一応案内なり説明なりはしてくれるのだが、それ以外の会話をする気は皆無という感じで、乗り物の順番を待っている間などは間が持たないことこの上なかった。(ちなみに、入場料などはわりかんです、もちろん。)
ものすごくやりたくないやっつけ仕事のようにただただ遊園地内を一周連れ回され、いいかげん何しに来たんだかわからなくなってきた頃、
やつは「外を歩きませんか。」と言った。
ちょうどいい、人ごみにあったらはぐれたふりして帰ったろ。
と思ったが、やつについていくとだんだん人のいないほう、というか
アベックばっかしいるほうへ向かって行く。
(しつこいようですが、真っ昼間です。)
そして、
突然やつは、わたしの手首をガッとつかんだ。
「なに!?」ときいたら、「後ろから人が来た。」・・・・・・
すぐ背後に凶器でも持った人が立っているのならともかく、口で注意すれば充分どける距離なのに、こいつは何を考えてるんだ。
ブチンと切れたわたしはとうとうやつに言った
「あんたいったいどういうつもりなの!?」

つづく。


● 第3回


「あんたいったいどういうつもりなの!?」
やつはわたしが何に切れているのかもわかっていないようすできょとんとしていたが、こまかく問い詰めていくと、やっと少しずつ自分の考えを明らかにし始めた。
やつの思惑を要約すると、こうである。

やつとわたしとは、男と女でフリー同士なのだから、連絡を取り合った時点で、もう「彼氏と彼女」が成立したのだそうだ。(ほう、知らなかった・・・)
「恋人同士」なのだから、デートコースをひととおり廻り、夜景を見たらチューをして、ディナーを食ったらホテルに行くことになってるんだそうだ。
なんの意思確認も意思表示すらもせず、
いや、やつはわたしも当然そのつもりでいると思っていたので意思確認の必要性にすら思い至っていなかったわけだ。
緊張してるんでも、シャイなんでもなかった。
会話が続かなかったのも、
「つきあっているんだから、言葉はいらないと思った」
のだそうだ。(↑やつの口から本当に出た弁である。)

ちなみに、やつの人格を語る資料として、
やつを問い詰めている段階で得られた供述をあげておく。↓

ぽんた 「あんた友達ともそんなにしゃべんないの?
 ていうか友達いるの?」
やつ 「いるよーいっぱい。」
ぽんた 「じゃあ普段何話してんのよ?」
やつ 「えーいろんなはなしするよ。」
ぽんた 「たとえばどんな?」
やつ 「・・・・・・、食べ放題に行く話とか。」
ぽんた 「ほかには?」
やつ 「・・・・・・、焼肉の食べ放題に行く話とか、
 すしの食べ放題に行く話とか、
 中華の食べ放題に行く話とか、・・・・・・。」
(↑どうみても、冗談で言っているのではないらしい。)
ぽんた 「〜〜〜〜〜。」(←脳の痛みをこらえている。)

つづく。


● 第4回


こういう会話を交わしている最中も、やつはこんなことを語らされるとは思いもよらなかったと終始「鳩が豆鉄砲顔」だった。
いったいおまえはほんとうに生まれて20年以上たっていて、社会に出て人と交流しながら生活している男なのか。
いや、とりやけものだって最低限「求愛ダンス」ぐらいするのではないか。
しつこく断わっておかねばならないが、やつと実際会う前、手紙と電話のやりとりはあったが、ほんとうにかんたんなプロフィールと、たいして写りの良くないプリクラを1枚ずつ交換しただけで、電話でも遊園地についての趣味の話ぐらいしかしなかった。
あとあとの面倒を避けるために、おたがいフリーであることの確認ぐらいはしたかもしれないが、それとてそれ以上でも以下でもなく、「彼氏募集中なんですよ〜」ともわたしは言った覚えはない。
世の中には「カラダだけ」という男女の関係も存在するが、
実際会うなり「やらせろよ、いいだろゲヘヘ」と言ってくる男にも会ったことがあるが、はっきりいって、そいつのほうが好感度としては、まだ上である。
やつのばあい、
「ちゃんとつきあっている」気になっている分、始末におえない。
単に、会うなり「やらせろよゲヘヘ」と言うほどの勇気はないが、1日かけて女子がよろこびそうな場所を連れまわしさえすればやらしてもらえるんではないか。と思っているに過ぎないのではないか。・・・・・・
どない思いますね、男子の皆さん。
出会いのきっかけはどうであれ、その後たがいに愛し愛されるためには、意思確認はもちろんのこと自分の魅力を必死になってアピールしたり、たがいのことをわかり合おうとしたりって絶対必要だとおもうんですけど。(体めあての場合は別としてな。)
しませんか、そうゆうこと。どんなおなごもろまんちっくな夜景を見せれば、何のアピールもせんでもちゅうのひとつもさしてくれると思てはりますか、みなさん。

・・・いや、もし外見が筧利夫だったりしたら
ぽんた的にはおっけーかもしれんが(笑)(おい!)

つづく。


● 第5回(最終回)


この出来事の直後、男女取り混ぜて10人以上の友人知人にこの話をしたら、ほとんどの人は
「なんとゆうバカ男だ・・・」とあきれたり感心したりという反応でしたが、
1人だけ
「ええーっ、どうしてつきあいたいって言ってくれてるのに断わっちゃうのお!?もったいない!」
と言った女がいました。
まあ、そうね。やつと何の疑問ももたずにつきあえる性格だったら、けっこう幸せな人生かもしれませんな。

さて、話を戻しましょう。
もうあらかたやつの「底」は見えたので、
これ以上は時間の無駄だ。と
帰ろうとしたわたしにやつは言ったのでした。

「え〜、もうちょっといれば夜景がきれいなのに〜。
あれを見たら、きっとボクのこと好きになると思うけどなあ〜。」

やはり、東京湾に突き落としてきたほうがよかったでしょうか。


管理人さま、長々と申し訳ありませんでした。

≪完≫

(2001・10・8)

(※↑これは、ここにアップした日です。最初に掲示板に書いた日は、9月頃ですが正確な日にちは不明。)


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