らいおん・はーと。

※MINIに書いた、小泉総理が二度目の訪朝で拉致被害者の家族をつれて戻ってきたときの在日の家族の記者会見のニュースを見た感想。
長いけど扉に載せる勇気はなかったので(笑)こっちに収録しました。


こいずみそうりはえらいなあ。

わたしは「このオッサンちょっとすきだなー」という程度で
べつにあの人を崇拝とかはしてないし、正直
こんだけ末端まで情報の行き渡った世で
「一人の英雄が国を変える」なんて絶対無理だと思ってるけど、
北に拉致された方々の家族が
「ウチの子が消えた!拉致かも!」と言い出してから
いったい何人総理大臣が代わったことだろうと。
その歴代総理たちがまったく何もしなかったとは思わないけど、
「一人しかいない国の大代表」という立場の本人が
いきなりアッチの国に乗り込んで
(一応毎日ニュースを流し見していたわたしが見ても、一昨年の初訪朝は「いきなり」という印象だった。)
「拉致されてた」という事実すらわからなかったところから
数十日の間に「帰国させる」にまでこぎつけた、
まあ報道されていない水面下の動きはそうとうあったにせよ
すくなくともわたしは、そのニュースをみたときは
「えっそんなことできんの?やっちゃうの?」という驚きと尊敬がかなりデカかった。
そして今回
またしても「いきなり」の訪朝、しかも日帰り、しかも
「アッチの国が(家族を)国から出す意思があるかどうかもわからない」というところから数時間の間に
「帰りの同じ便で5人つれてくる」。

しかも、

先に帰国してた拉致被害者とその家族の感想は
「ぜんぜん喜べねえ」
「5人しかつれてこれないなんて役立たずが」
「こいずみには失望」

気分が重くなって仕事に差し支えるので5分ぐらいしか見なかったが
昨夜の記者会見からわたしが受けとれた「あの人たちの感想」はこれ。

あのですね
あの人たちだって、「小泉さんには感謝してる」という大前提は
そりゃ絶対あるはずなんですよ。
「小泉さん今まで誰もやってくれなかったすごいことしてくれてる」
ということもわからないようなばかじゃいくらなんでもないと思う。
たぶん、この人たちの言ってるのは
医者が重症の患者を手術して、同じだけ手を尽くしても
たすかれば神のように感謝されるのに
死んじゃったら鬼のようにぼろくそ言われるっていうのと
同じことだと思うのね。
死んじゃったら遺族には「手を尽くした」という事実も見えなくなる。
あの人たちにとっては「全員日本に来て暮らせる」が「当然」なので
一人でもつれてこれなければ「何もしてくれないも同じ」なわけだ。

この間、イラクで人質になってた人たちがいたじゃないですか。
やっぱり気が重くなるのでほとんど見てなかったけど
あのときも家族の人たちが毎日のようにカメラを向けられてコメントしててさ
最初は「人質と家族は完全な被害者」で
「テロに屈せず人命を見捨てる国」は悪魔のように言われてたけど、
途中から「自己責任論」というのがすげえいきおいで噴出しだして
それから後はもう「ご迷惑かけてすいません」一辺倒になっちゃった。
思うに、あれはさ
べつにそれでも家族を助けてほしければ、「早く自衛隊を撤退させてください」って言い続けてかまわなかったんだよね。本心では言いたかったのかもしれないけど。すくなくとも「言っちゃダメ」っていう具体的な「規制」はなかったはず。
わたしはテレビカメラとマイクを向けられたことがないのでわからないけど、
テレビ局側から具体的な指示こそあるわけではないにせよ
やっぱりその現場にはなにかしら、「コッチ方向の意見を言わざるを得ない」ような
「目に見えないお膳立て」ってできてるんじゃないかと。
もちろん本人も世論をふまえてるっていうのはあると思うけど
一応「ニュース番組」って報道は公正な立場でおこなわれるわけだから、
現場で「コッチ寄りに報道しますのでそういうコメントをしてください」みたいな指示はありえない。何しゃべっても自由なはず。

それで言うと、昨夜の記者会見では
「小泉さんにはちゃんと感謝してるけど」っていう意見は
ここでは邪魔である、という空気ができていたということになる。
(感謝を表明したら「北」側に「これで満足もういい」というふうに受け止められかねない、ということも含めてではあるが。)

だけどさ
ぜんぜん関係ない一般人は、昨夜のあの会見を見た印象って
ほとんど「そうだそうだこいずみなにやってんだ」か、あるいは
「えーこいずみさんだってがんばってるのにこのひとたちわがままー」か
どっちかになっちゃう気がするんだけど。
具体的に誰が何してるわけでもないんだけど
やっぱり報道が「そうにしか見えない」ように操作されているような。

なんか、どっちにしてもやばいような気がするんだけど
いいのかなあ。
日本人って「今はこの意見に乗ったほうがカッコイイ」っていうのに
すごい簡単にとびつくじゃない。


なんてことを考えていたら、
こういうの全部わかって受け止めた上で
死んじゃうかもしれない患者にあえて手を尽くしている
こいずみさんはやっぱりすごいなとおもった。


あと
さっきも書いたけど5分ぐらいしか見てなかったので、
家族の方々がちゃんと「小泉さんには感謝してる」という発言をしていたとしたらごめんなさい。

(2004年5月23日)

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